奈良旅 4日目
朝5時に目覚め、せっかくなので朝食まで散歩することにしました。
まだ薄暗く、外はほとんど人が歩いていません。
ゲストハウスから歩いて10分ほどの大神神社(三輪大明神)に到着しました。
冷え切った空気のなか鬱蒼とした森の中に灯籠の灯がともり、なんとも神秘的な雰囲気。
鳥居をくぐって振り返ると美しい参道を独り占めできました。
やっぱり参拝は早朝がいちばん。
大神神社の拝殿。
大神神社は、本殿を持たず、三輪山をご神体として祀っている日本最古の神社だそう。
また「酒の神」として信仰され、よく酒蔵に吊るされている杉のくす玉のようなものは、ここ大神神社で作られ全国の酒蔵に発送されているのだそうです。
日の出前の薄暗いなか祝詞を唱える声が響き、神聖なとてもありがたい気持ちになりました。
宿に戻ったらオーナーさんが「おかえり〜」と声をかけて下さりほっこり嬉しい気持ちに。
宿泊料金からは考えられないほど豪華でおいしい朝食!
ここでついに他のゲストの皆さんとご対面です。
私を含む3組が女性一人旅、残りの1組が小さなお子さん連れの4人家族。
計7名で小さなテーブルを囲み、どこから来たのか、今日はどこに行くのか、今どんなことに興味を持っているのか、などなど、「何をそんなに盛り上がってるの?」オーナーさんが覗きにくるほど賑やかな時間でした。
朝イチでしかもお酒も入ってないのに初対面でこんなに話が弾むってすごいな…と思っていたら、常連客の女性の方が「ここに宿泊する人は似たような人が多いんだよね」と。
なるほど、波長が合うってこういうことを言うのかな、と思ってしまうほど「距離感」や「気持ちの方向」が似た人たちが集まっていて、それはこのゲストハウスが引き寄せているのかもしれない。だからリピーターが多いのかな。
ゲストハウスによって来る人種も違うだろうし、自分にとって苦手なタイプばかりが来るゲストハウスもきっとあるはず。
そうなるとゲストハウスを決める時には、自分の予感というか「嗅覚」だけが頼りになるのだろうか。ゲストハウスって面白い。
食後は皆さんと一緒にまったりとコーヒーを。
私と同じ静岡から来られたという女性から「うなぎパイ」をいただきました。
他県から来るであろう他のゲストへの素晴らしい気遣いに感動…。
ほんの一瞬だけれど心が通いあったような、家族になれたような、なんとも温かい時間を過ごすことができました。
今までゲストハウスを食わず嫌いしてたのが勿体無かったな。
宿のオーナーさん、ゲストの皆さんとの別れを惜しみつつ、古代遺跡の宝庫である明日香村を目指します。
橿原神宮前駅から出ている「かめバス」でまずは石舞台古墳へ。
この日も耳がちぎれそうなほどの寒さでしたが、背景のお花が春らしい感じ。
私が30年前に修学旅行で来たときは柵や入場料もなかったのですが、今の世の中で遺跡を守るためには致し方ないことなのかもしれません。
古墳の入り口。フランス人の団体客とご一緒させていただく。
こんなニッチな場所に来るなんて、フランス人ってマニアックだよなと思う。
石室内。
盗掘されたモノは今頃どこにあるのだろう。
もうすでにこの世にはないのか、はたまた海外に渡っているのか。
発掘されたのが現代なら誰の墓なのかが特定できただろうに勿体ないな、いや知らない方がロマンがあるのかも?
遺跡を前にすると延々と考えてしまいます。
石舞台から歩いて20分ほど、岡寺にやって来ました。
岡寺は日本最古の厄除け寺としても知られ、日本三大仏の一つ如意輪観音菩薩がご本尊として祀られています。
子供の頃から大好きなお寺で何度も訪れているのですが、最近は可愛い演出に尽力されていて、私はその努力に年々感銘を受けていたのでした。
可愛い演出に胸が熱くなる。
如意輪観音菩薩が鎮座する本堂。
土で造られた仏像としては最古と言われ、その白いお姿からは遥か彼方のシルクロードを彷彿とさせるよう。
本厄の際、こちらで厄祓いをしていただいたのですが、その迫力あるお姿とお経にしばしトランス状態に陥った記憶が蘇りました。
岡寺を後にしてちょうどお昼。
何年も気になっていた「カフェことだま」さんへお邪魔しました。
超人気店で予約必須なのですが、「とにかくお店の人が怖い」という口コミの連投を見て震え上がってしまい、とりあえず行って決めよう、と予約なしで訪問したのでした。
実はこちらには私の大好きな「仏下」が販売されているので、まずはそれを購入。
(左側の仁王様の方を購入。右二つは2日目に興福寺宝物館で。)
と、その時レジを担当してくださったオーナーと見られる女性の温かなご対応に思いがけず感動し、反射的に「ランチ一名、いいですか?」と聞くと、「15分くらいお待ちいただければ大丈夫ですよ〜」とにこやかにおっしゃるではないですか。
怖くないどころかどこのお店より優しい対応…。
他のスタッフさんも親切だし、え、あの口コミは一体…
と思っているところでランチが到着。
春のお野菜をふんだんに使った鳥天セット。
ボリュームたっぷりで、一つ一つがしっかり手が込んでいて春らしい上品なお味。
とても美味しかったです。
食後には、一度食べてみたかった明日香ルビー(苺)のパフェ。
こちらは朝一番に採れたイチゴを使用しているそうで、優しい甘さのイチゴと甘すぎないクリームが絶妙なバランス。
帰りのお会計時も同じ女性が対応して下さり「お待たせしてごめんなさいね、そしていっぱい召し上がってくださってありがとうございます」とにこやかに見送ってくださった。全然待ってないのに!
うーん、いい意味でめちゃくちゃ裏切られました!また来ます。
お腹が膨れて幸せ気分のまま、飛鳥寺へ向かいます。
実は日本で唯一ココでしか購入できないとっておきのお土産があるのです。
飛鳥時代に貴族の食べ物であった「蘇」を再現したお土産。
生乳100%から造られ、塩も砂糖も何も使用されていない牛乳の固形物。
チーズともまた全然違い、ミルクの濃厚な風味としっとりサクサクした食感が…とにかく他にない美味しさなのです。
もちろん夫も猫も夢中になり「哺乳類が欲する味」とでも言うのでしょうか、本能的な部分を刺激されるお味です。
1,200円と少しお高いのですが、私の中では定番で明日香村を訪れるたびに購入しています。
蘇我入鹿の首塚から甘樫丘を望む。
明日香村ののどかな景色に癒される〜。
バスが来るまで、近隣を散歩しました。
飛鳥坐神社。境内は素敵なパワーに満ち溢れていた。
酒船石。こういうのを前にするとやっぱり色々考えてしまう。
タイムスリップして何に使われていたのか見てみたい。
明日香村を後にして、本日の宿である長谷寺駅へ向かいます。
昨日ゲストハウスの良さに酔いしれた私は、またもゲストハウスを予約。
本日お世話になるのはこちら。
「ゲストハウスいったん」さんです。
前日の急な予約にも温かく対応して下さりました。
こちらを選んだ理由は「長谷寺の朝勤行ツアー」と「オーナーご夫妻は元会社員」というところ。
これは面白い体験ができそう。そして面白い話が聞けそう。と感じ、予約せずにはいられない衝動に駆られたのでした。
さっそく中へお邪魔します。
すごい可愛い!!
内装は、世界中を旅されるオーナーご夫妻のDIYによるものだそうです。
色をたくさん使っているにも関わらず、とても落ち着く空間。きっとずば抜けてセンスが良いのでしょう。
宿の中もとても清潔で過ごしやすい空間が広がっていました。
奈良関連の情報がたくさん詰まった居間。
この日の宿泊客は私だけで、あえて満室にはしないのだそうです。
宿のコンセプトとしては「ゲスト同士がワイワイ交流する」というよくあるゲストハウスのイメージとはちょっと違うんですよ、と教えていただきました。
ゲストハウスによって本当にカラーが違うのだな…面白い。
この落ち着いた感じも大好き。
私が居間でまったりしていると、オーナーさんがふらりと現れ、おしゃべりに付き合ってくださいました。
宿を始めたきっかけや、会社員を辞めた時のこと、安定するまでの道のり、続けていく上で大切にしていること、などなど私がまさに聞きたかった話をたくさんして下さり、どの話も今の私にはど真ん中に刺さる内容でした。(素敵な内容だったのでスマホにメモしまくった)
ああ、思い切って来てよかったよ!
お部屋の鍵は「長谷寺」の根付。可愛い!(お守りは買わない派だけど、翌日購入しちゃった)
今日のお部屋。70年代の建物を可愛くリノベーションされておられました。
お布団の中には湯たんぽの気遣いまで。
ぐっすりと眠れる落ち着くお部屋でした。
明日はいよいよ旅の最終日!!
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